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溶血性貧血:赤血球の寿命が短くなる

溶血性貧血
溶血性貧血

人間だけでなく、猫や犬にも見られる貧血として知っている人も多いかもしれません。
最も多い鉄欠乏性貧血などと違い、赤血球自体が壊されてしまうので、一般的な貧血の症状と主に他の症状が問題となることが多い疾患です。
また、「溶血性貧血」には何百種類もあるのです。中には季節によって状態が変化するというような、まれな病気も含まれています。


溶血性貧血とは

赤血球が早く壊れてしまう

赤血球が生まれてから壊れるまでの活動期間は120日です。しかし、何らかの理由により、短期間で赤血球が壊れてしまう貧血を総称して”溶血性貧血”と呼びます。赤血球が通常より短い期間で壊れてしまうことで、自覚症状だけではなく赤血球を作る骨髄や血液を造るための材料を貯蓄している脾臓などの臓器にも負担がかかっているんです。
壊れてしまう原因は色々なものがあり、大きく先天性と後天性に別けることができます。特に日本人に多いのが後天性の自己免疫性溶血性貧血と先天性の遺伝性球状赤血球症です。

症状

めまいや動悸・息切れなど一般的な貧血の症状の他に、黄疸や脾臓が腫れて大きくなる”脾大”が現れるのが特徴です。
また、黄疸が進行するとそれを補おうとして骨髄中にある赤芽球の働きが活発になり骨が押し上げられて盛り上がった状態になる事もあります。骨の変形は頭骨に現れることが多く、この症状を搭状頭蓋といいます。さらに胆石ができてしまう事もあり、腹痛や胆石発作という症状が出る場合もあります。

溶血性貧血の種類

遺伝性球状赤血球症

先天性(遺伝性)

日本人に最も多い溶血性貧血で、常染色体性優性遺伝をするのが特徴の疾患です。
正常な赤血球は円盤状で直径が短く真ん中が窪んでいて、周囲の状況に合わせて形を変形させて臓器を通過することができます。しかし、この疾患の赤血球は細胞膜を構成する蛋白質に異常があるため円盤状ではなくまん丸になっています。
また、形を変える事もできないため、脾臓の出入り口を通過することが出来ずマクロファージに貪食されてしまいます。また、赤血球が詰まってしまうため、脾臓にも大きな負担がかかり胆石や脾大になります。


自己免疫性溶血性貧血

後天性

自己免疫機能の異常からなり、何らかの理由で体内に赤血球を破壊する抗体ができてしまうのが特徴の疾患です。体内にできたIgGやIgMという抗体が赤血球をくっつき凝集させてしまいます。そのため、脾臓の出入り口を通過できず、マクロファージに貪食され、脾大や黄疸御症状が現れます。
この疾患には、体温が37度で赤血球と結合する特性を持った温型、低温で結合しやすくなる寒冷凝集素症、発作性寒冷血色素尿症の3つに分類されています。特に稀なのは発作性寒冷血色素尿で、冬に経過が進行し、夏になると軽減します。


治療法

先天性(遺伝性)

遺伝性球状赤血球症の治療方法として有効的なのは脾臓摘出することですが、遺伝性の疾患ですから根本的な治療とはいえません。しかし、貧血や黄疸といった症状は改善されます。
また、胆石ができている場合には胆石を取り除く外科的治療を行い、状況によっては胆嚢の摘出も行います。遺伝性溶血性貧血の中には”遺伝性楕円赤血球症”という同じような疾患があります。しかし、貧血の症状の進行は軽度なので、ほとんどの場合内科・外科治療は行わず食事療法などで対処します。

後天性

自己抗体によって引き起こされる疾患のため、慢性リンパ性白血病やガン、悪性リンパ腫など免疫機能と関係する病気が原因となって発病するケースも多いようです。そのため、治療には副腎質ホルモンが使われることも多いのですが、糖尿病・胃潰瘍などに対する抵抗力が低下し、ナトリウムやカリウムなどの電解質の体内バランスが崩れやすくなるという副作用があります。
しかし、疾患を放置しておくと命に関わるほど貧血の症状が進行してしまうため、状態に合わせて投薬治療と外科的治療を行います。